好きを仕事に
ネイリストとしては遅めのスタートでしたが、自分が先頭に立って切り開いていくには起業を!との想いから、好きだったネイルを始めました。マニキュア集めやデザインの学校を卒業した経緯もあり、ネイリストという職業を選ぶのは自然な流れでした。
ネイルで食べていく
念願のネイリストになったものの、始めからそう上手くいくものではありません。初めて勤務したお店は、大手ショッピングセンターの中。
片っ端から買い物客の女性にパンフレットを配っては、また一人また一人とお客様を集め、そして技術を磨く。とにかくがむしゃらに突っ走りました。
2店目は、美容院の中に設けられたネイルサロン。
立ち上げから携わり、ゼロからのスタートでした。ヘアやまつげなどのメニューがある中でも、ネイルはお客様の手指に触れるサービス。そこから自然と会話が生まれ、「またお願いします」と信頼をいただくことが多くなりました。
時短と安さをウリに流れ作業のように接客するサロンが増える中でも、確かな技術とコミュニケーションを常に大切にしてきました。
そして、訪問ネイル専門として独立。紹介が紹介をうみ、「身に付けた”手に職”で、独り立ちする」という目標がカタチになりました。
好きだからこそ沸いた、1つの疑問
爪は、いつも目に入るもの。
数センチしかないキャンバスにネイルアートを施せば、それだけで気分が明るくなり、自分自身を励ますことになる。ネイルは、究極の癒やしでありご自分へのご褒美です。キレイになった爪を見て笑顔になるお客様に心から嬉しさを覚えました。
爪に負荷がかかるお仕事の方、爪になんらかのコンプレックスを抱えてる方が補強などのために人工爪を必要とする方もいます。
しかし、一方で健康な爪を間隔を空けずに施術を繰り返していくうちに、場合によっては爪を弱くしてしまう一面があるのも事実です。
キレイと健康を両立してこそ、真のネイリストと言えるのではないか。
小さな疑問が葛藤となって膨れ上がっていきました。
試行錯誤するうち、天然素材のみでできた水溶性ネイルに出会い、爪の健康とネイルの両輪が実現しました。
転ばぬ先のつ”め”!?
現在は、この水溶性ネイルを引っ提げ、高齢者向け訪問ネイルサロンを展開しています。
周囲のご高齢の方がどんどん孤立を深めていく姿を目の当たりにするうちに、健康なうちから社会との繋がりを保つことが肝心だと考えるようになりました。
髪の毛にも服装にもこだわらず、人と関わりを持とうとしなかった一人の女性。それでも粘り強く、目と目を合わせ、手と手を触れ合わせながら会話をし、ネイルをさせていただきました。すると回を重ねる毎に、髪が整い、服装が明るくなり、ご自分から話しかけ始め、カメラの前でポーズをとり、「次はこんな感じがいい」と自らオーダーされました。
たかが爪、されど爪。
ネイルはきっかけにすぎません。ただ、そのきっかけに確かな可能性と大きな使命感を感じた瞬間でした。
「手がしわしわだから今更・・・」いいえ、手はこれまで頑張ってきてこられた証であり、歴史そのものなのです。ネイルを施すということは、ただキレイにするだけでなく、今までの頑張りを、歴史をより輝かしいものにするためだと信じています。
あなたの手、是非キレイにさせてください。
キレイになると、それだけで気分が明るくなって、誰かに見てもらいたくなり、そこからまた新しい会話が生まれ、社会と繋がることで孤独が減り、巡り巡って健康寿命を延ばすことになる。ネイルケアがはじめの一歩になれば、こんな幸せなことはありません。
超高齢社会から孤独を1mmでも減らすために、今日も手から手へ愛を込めてキレイを届けます。
紡笑
つむえ / Tsumue
tsumue2020egao@gmail.com
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